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質 問 と 回 答
セミドライ加工は、どのような加工にも適用できますか。
すべての加工で従来の大量の切削油(フラッドタイプ)より効果が出るとは限りません。現在のところ、大きな効果が出ているのはスポット的です。しかし、フラッドクーランと同等に削れる事例は増えていますので、環境面やコストダウンの面からの検討を行えば、メリットが見出せます。
特にどのような加工に効果があるのでしょうか?
 油ミストの場合は、低速領域の加工極小径ドリル、アルミ切断などでは実績が多く出ています。これらの加工は工具寿命の延長などの直接的な効果が出ています。また、切削油を使用することで、洗浄・ふき取り・接着・溶接・乾燥など工程が増えてしまう場合、セミドライ化による切削油レスによって、より大きな効果が生まれます。
セミドライ加工はむずかしいと聞きますが?
 現在のところ、すべての加工において、フラッドタイプの代わりになるわけではありません。そこで、事前に加工内容に応じて加工可能か、どれだけ効果が出るかを事前評価する必要があります。専用機のように加工内容が一定のものは一度事前評価すれば導入が可能です。しかし、汎用機のように、さまざまな工具でさまざまな被削材を加工する場合は、事前評価が不可能です。また、既設の機械をセミドライ化する場合は、フラッドクーラントで切りくずを押し流すようにできていますので、セミドライ化したときの切りくずの処理が問題となります。導入に際しては、MQLミスト装置メーカーなどの専門家に機械設備を診断してもらうとよいでしょう。また、むずかしい加工から導入しようとせずに、導入しやすい簡単な加工からアプローチすることが大事です。
既設の設備でもセミドライ化できますか?
できる場合とできない場合があります。一般にNC旋盤では可能な場合が多いです。マシニングセンタの場合、外部ノズル給油は可能ですが、スピンドルスルーでミスト給油する場合は、既設機械がスピンドルスルーでなければなりません。また、この場合ロータリージョイント(回転継ぎ手)がミスト対応可能かのチェックが必要です。スピンドルスルー機でない場合、サイドスルータイプのミスト対応アーバーもツーリングメーカーで開発されています。さらに制御に関してはNC機の場合、M信号の増設などが必要になります。
植物油を使用したほうがいいのですか?
ミスト装置メーカーや工作機械メーカーは植物油脂や植物油由来合成エステルを推奨していることが多いようです。これは、ミストで使用すると吸い込む恐れがあるため、作業者の安全性に配慮しているためです。また、植物油由来オイルは、生分解性が優れており、環境負荷が小さいことも特徴です。同時に植物油や合成エステルは化学的に金属に吸着する石油にはない性能を持っているため、油剤性能が高いといわれています。
セミドライ用の油剤は高価ですが、もっと安いものはありませんか?
植物油脂または植物油由来由来合成エステルは石油と比較して、一般に高価です。植物油は栽培を必要とし、基油そのものが高いためです。また酸化安定性を高めるために酸化防止剤を添加したり、エステル交換反応により合成エステル化するため、より高価になります。また、植物油や合成エステルは価格が高いため、フラッドタイプの油としては使用しにくく、性能向上のため、石油系切削油に混ぜて使用されています。高価な植物油や合成エステルを切削に使用できるのは、MQL加工の油剤使用量が極わずかなためであるからです。これらのことから、油剤そのものを植物油由来から安価な石油系へ変更するのではなく、MQLの消費油量をいかに削減できるかを考えたほうが、メリットが大きいのではないでしょうか。
セミドライ用の専用工具が必要ですか?
アルミ加工の場合はDLCやダイヤモンドを使用したほうが、フラッドクーラントでも同じことがいえますが、うまく加工できる場合が多いです。また、水を使用しないセミドライ加工の場合、冷却効果が少ないので、耐熱性の高いTiAlNコーティングに変えたり、サーメットを使用したりするとよくなる場合があります。ドリルなどでは各社から潤滑コーティングやセミドライ向きのものが出ていますので利用するとよいでしょう。また、旋盤加工の場合は、タレットから刃先にノズルを取り付けると切りくずで曲げられたり、ノズルが破損したりするので、市販されている専用のミストホール付バイトを利用するといいでしょう。
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